目次
三段論法とは
説得力を持たせるプレゼンの技法
三段論法とは、論理学(論理的思考のベースとなる学問)における論理的推論の型式(演繹法を行うための具体的な手段)のひとつであり、ある事実やその前提となる正しい情報を起点として、推理を重ねて結論を導き出す手法のことです。最初に「大前提」と「小前提」があり、最後に「結論」を出します。この法則は、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスが確立しました。起源は古いものの、論理的思考やライティングなどに最適であるため、現代でも広く使われています。まずは有名なアリストテレスの例文を見てみましょう。
大前提:すべての人間は死すべきである。
小前提:ソクラテスは人間である。
結論 :ゆえにソクラテスは死すべきである。
大前提では一般的な事象や絶対的な事実(A=B)、小前提では具体的な事実(B=C)を述べ、この2つの前提をもとに結論(A=C)を述べています。このように、三段階に分けて思考を深めていくのが三段論法です。プレゼンに説得力を持たせたいときは、ぜひとも参考にしてください。
それでは、以下に「つまらないプレゼン=犯罪」の根拠を、この三段論法を用いて証明します。
不都合な真実
大前提:つまらないプレゼンは時間泥棒である
聞き手にとって、つまらないプレゼンから得られることは何一つとして存在しません。ただただ無駄な時間を浪費することになります。つまり、話し手がでたらめに時間を奪う行為であり、「つまらないプレゼン=時間泥棒」が成り立ちます。
小前提:泥棒は犯罪である
泥棒は、他人の財産を侵害する犯罪(窃盗、強盗、詐欺、恐喝、横領など)のひとつとされ、「窃盗罪」に相当します。窃盗罪は刑法第235条にしっかりと明記されております。
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法第235条
ゆえに、「泥棒=犯罪」が成立し、泥棒は立派な犯罪です。「つい魔が差した」という表現があるように、窃盗はちょっとした気の緩みや自分への甘さ、物欲しさやスリルといった衝動によって、誰もがやってしまいかねない犯罪と言えます。
なお、窃盗の罪の重さは、盗んだものの価値によって大きく左右されます。人生で最も貴重な資産である時間を奪う行為は、極めて悪質な犯行と言えます。悪質と判断されれば、罰金刑では済まされず懲役刑が科せられ、場合によっては執行猶予がつくこともなく実刑判決が下される可能性もあるでしょう。また、罰金刑といえども「前科」がつくことには変わりないので、一定の職業に就けなくなったり、場合によっては解雇の対象となったりするなど、さまざまなデメリットがあります。
さらに、窃盗をすると刑事だけでなく、民事の責任も問われます。
(不法行為)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法第709条
民事においての「相手方に与えた損害」とは、奪った財物の金銭的価値はもちろんのこと、裁判になった場合の費用や、その弁護士費用(着手金・報酬金合わせて60〜100万円が相場)まで含まれるというのが、現在の判例の考え方です。仮に窃盗の被害を受けなければ、裁判の必要もなく弁護士に依頼する必要もなかったから、という理屈です。加害者としては、刑事責任としての懲役や罰金刑だけでなく、民事責任として金銭的負担をも負うことになります。
結論:つまらないプレゼンは犯罪である
以上より、「つまらないプレゼン=時間泥棒」、「泥棒=犯罪」となり、「つまらないプレゼン=犯罪」が証明されました。
この他、刑法243条によって、窃盗罪の「未遂」に関しても処罰が行われる旨が明確にされています。準備不足のままプレゼン本番を迎えることは大変危険な行為です。また、以前にもつまらないプレゼンを行なった過去があれば「再犯」として扱われることがあります。再犯であれば、以前の事件を反省していないと評価され、罰金額が高額になる恐れがあります。さらに、つまらないプレゼンを繰り返している場合、常習累犯窃盗罪(盗犯等の防止及処分に関する法律3条)に該当し通常の窃盗罪より重く処罰される可能性があります。常習累犯窃盗罪の法定刑は、3年以上20年以下の懲役です。同罪に罰金刑はなく、懲役刑の内容も窃盗罪より加重されています。全国の校長先生をはじめ、プレゼンに不安を抱える方はくれぐれもご注意ください。
プレゼンターが盗むべきもの
まずは専門家にご相談ください
逮捕された場合、最長20日間勾留される可能性があります。この勾留満期までに、検察は起訴・不起訴を判断します。法務省の2019年犯罪白書の統計によると、勾留請求率は91.8%にもなりますので、逮捕されれば勾留されると考えられるでしょう。勾留が20日間におよべば当然職場にも学校にも行くことができませんので、仕事を解雇されたり、学校も退学になったりする恐れがあります。したがって、一刻も早く弁護士に依頼して身柄解放につながる弁護活動をしてもらう必要があるのです。起訴され裁判となった場合、その有罪率はおよそ99%です。窃盗で罰金や懲役を回避するためには「そもそも起訴されない」ことが重要になります。また、法律上の自首が成立した場合には刑が減軽される可能性があります(刑法第42条)。自首は犯罪後のよい情状として評価されるため、検察官が不起訴処分を下す可能性もあります。窃盗を犯してしまったら弁護士に、つまらないプレゼンをしてしまったらビジネスコンサルタントに、まずは相談するようにしましょう。
さて、念のため誤解のないよう訂正しておくと、実際の法律では、つまらないプレゼンは犯罪でありません。上述した「窃盗罪」の定義に記載される「財物」とは、原則として有体物、つまり、形のある物(固体・液体・気体)とされるためです。しかしながら、実質的な被害の大きさを考慮すると、決して冗談とも言えないでしょう。つまらないプレゼンがどれほど重い罪であるのかを伝えたい一心で色々と調べましたが、気が付けば法律について随分と詳しくなってしまいました。結論、プレゼンターが盗むべきは、相手の心、ただ一つです。お後がよろしいようで。
つまらないプレゼンをしてしまったら、速やかにご相談ください。