もう迷わない!ビジネスシーンに最適なフォントの選び方

フォントの基礎知識

明朝体とゴシック体

世の中には、数えきれないほどたくさんのフォントがありますが、多くの方は標準で設定されたフォントのまま資料を作成しています。MS明朝やMSゴシックは馴染みのあるフォントであり、「互換性」の点では他のフォントに追随を許しません。しかし、フォントは非常に重要なデザインの要素です。どれを使うかだけで受ける印象が大きく異なります。Word資料をはじめ、長い文章に向いているフォントもあれば、PowerPoint資料を主として、タイトルに向いているフォントもあります。フォントの使い方を間違えると、資料は台無しになってしまうのです。

日本語の文字は、「明朝体」と「ゴシック体」に大別することができます。明朝体は、横線に対して縦線が太く、横線の右端、曲り角の右肩に三角形の山(ウロコ)がある書体です。 一方、ゴシック体は、横線と縦線の太さがほぼ同じで、ウロコが(ほどんど)ない書体です。

選択基準は、読みやすさを意味する「可読性」と、見やすさを意味する「可視性」です。まず、明朝体は可読性に優れます。本文など読ませる文章には「明朝体」が適しています。対して、ゴシック体は可視性に優れます。様々な情報がある中、パッと目に入らないといけないタイトルは「ゴシック体」が適しています。ポスターやスライドは、懇切丁寧に文章を書いて内容を説明するものではなく、一般に、要点だけを端的に説明し、プレゼンテーションの補助的な役割を担います。したがって、文章が長くなることは想定せず、基本的には、可読性よりも可視性が求められるため、「ゴシック体」のみで問題ありません。その中でも特に「メイリオ」がお勧めです。メイリオはデザインが綺麗で、1文字1文字が大きく表現されており、まさに「明瞭」がその名の由来です。特別な理由がない限り、私が使うフォントはメイリオ一択です。

また、日本語フォントの多くはアルファベットを書くと、等幅となり、見にくい(醜い)です。例外はありますが、原則、英文や英単語は日本語フォントを避けるのが賢明です。尚、英語フォントとしては「Segoe UI」や「Helvetica(あるいはArial)」をお勧めしています。いずれもビジネス向けに万能なフォントです。日本語と英語でフォントを変える方法は、PowerPoint画面上部の「表示」タブから「スライドマスター」をクリックし、「フォント」から好きなものを選択することができます。

なお、英数字はすべて半角を使うようにしてください。全角英数字が並ぶと、横に間延びした印象を与えるからです。また、全角と半角が混じっていると、英数字の不揃いが目立つため、スライドの見た目が悪くなるうえに、資料の完成度が低く見えてしまいます。そのような印象を与えないためにも、「英数字は半角」を徹底すると良いでしょう。

 

極太フォントと個性的なフォント

極太フォント(Bold)は、見出しなど一部の記載内容を強調したいときに使用すると効果的です。ただし、本文として紙面いっぱいに広げると、暑苦しくなり可読性が損なわれるため、多用は禁物です。基本的には見やすさを重視して、過度な装飾はしないようにします。

ポップ体など個性的なフォントは長文における可読性が非常に低く、読み手にストレスを与えます。アイキャッチなど強調したい箇所に使う程度でとどめましょう。

 

レイアウトのルール

サイズ

スライドで使用する文字はその要素によってサイズを変える必要があります。私が要素ごとにお勧めしているサイズは、以下の通りです。

・タイトル  :24〜36pt
・本文    :12〜20pt
・キャプション:  8〜10pt

通常、手元に配布する資料に比べ、プロジェクターで投影するプレゼン資料では、サイズを大きくします。

また、文字のサイズは「ジャンプ率」を高めてコントラストをつけてください。ジャンプ率とは、本文の文字サイズに対するタイトルや見出しの文字サイズの比率のことです。ジャンプ率が低いと落ち着いた印象になり、ジャンプ率が高いと躍動感のある印象になります。ジャンプ率は、1.5〜2.0倍が目安です。

これらの他、「◯◯円」「◯◯回」「◯◯%」「◯◯kg」など、単位は相対的に小さく表記すると、より綺麗になり見栄えが良くなります。

 

行間と文字数

表現力をアップするテクニックとして「文字組み」があります。文字組みとは、行間や字間、サイズを調整して、テキストが美しく、読みやすくなるように整えることを言います。行間が詰まり過ぎていると読みにくくなるため、文字サイズに対して1.2〜1.5倍程度の余白を取りましょう。

また、レジュメでは、あまり心配する必要はありませんが、スライドやポスターでは、一行の文字数が多すぎるのは好ましくありません。一行の文字数が多いと、次に読む行を見失いやすくなります。大きなスクリーンに映っている場合には、目線を大きくかつ繊細に動かす必要があるので、文章を目で追うだけで疲れてしまいます。特に、キャプション(写真横の注釈)などは簡潔にしましょう。

どんなに魅力的なメッセージが書いてあっても、読めなければ意味がありません。文字のルールをしっかりと決め、それに従って資料の作成を行うようにしましょう。

教える・売ることが職業の人たちへ、科学的根拠に基づいて人の心を掴む方法を伝授します。

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森田 翔

森田 翔

プレゼンテーション・プロデューサー

《略歴》
1984年石川県金沢市生まれ。2008年明治薬科大学を卒業後、エーザイ株式会社の営業職として12年勤務。2020年独立し、日本つかみ協会を創設。2023年戸板女子短期大学の非常勤講師を務める。
主催セミナーの開催数は年間300回以上、累計受講者数は2,000名を超え、24ヶ月連続で人気ランキングNo.1/600講座(ストアカ:プレゼン部門)を獲得。
花火大会で3万人の前でプロポーズを行う(フジテレビ、とちぎテレビ・ラジオ出演)など、公私共に様々なシーンのプレゼンを経験。個人・法人を問わず、研修・コンサルティング事業を運営。

《主な企業研修実績》
エーザイ株式会社、EAファーマ株式会社、日本ロレアル株式会社、アラガン・ジャパン株式会社、株式会社大和書房、東京コミュ塾、株式会社秀光、株式会社オカムラ、株式会社バレン、東京海上日動あんしん生命保険株式会社、りそな総合研究所株式会社、株式会社ベネフィット・ワン、一般社団法人みらいビジネスラボ、ユニオン労働組合、埼玉しごとセンター、松山しごと創造センター、茅ヶ崎市役所、他多数

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