職場の悩みNo.1は「コミュニケーション」
ストレスの原因は「人間関係」
「クライアントと信頼関係が築けない」「上司や部下と上手くコミュニケーションがとれない」、これらは誰もが抱える悩みでしょう。なぜ想いは伝わらないのでしょうか。職場の悩みで最も多いのは、ズバリ、「コミュニケーション」です。厚生労働省の調査でも、職場でのストレスの主な原因は「人間関係」とのことです。一般に、睡眠を除いて人生の大半を仕事に費やすため、コミュニケーションは人類共通の必須科目として学びましょう。
イソップ寓話「北風と太陽」
イソップ寓話の一つである「北風と太陽」は、「物事に対して厳罰で望むよりも、寛容的に対応する方が得策である」という教訓として広く知られています。
あるとき、北風と太陽が力比べをすることになりました。そこで、どちらが旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をします。
まず、北風が力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとします。しかし、寒さを嫌った旅人が上着をしっかり押さえてしまい、北風は旅人の服を脱がせることができませんでした。
次に、太陽が燦々と照りつけました。すると、旅人は暑さに耐え切れず、今度は自分から上着を脱いでしまいました。
以上より、勝負は太陽の勝ちとなりました。
人を動かすための唯一の方法は、自ら動きたくなる気持ちを起こさせることです。そのためには、相手へ無理強いするのでなく、相手の欲しているものを与えることが大切です。親に怒られながら「勉強しろ!」と説得されるのと、憧れの人を見て「勉強しよう!」と納得するのとでは、どちらが学力が上がるのかは言うまでもありません。以下に、覚えておきたいコミュニケーションの4段階について、ご紹介します。
コミュニケーションの4段階
①信用
最初のプロセスは「信用」です。話し手が信用できないと、話の内容も信用できません。まず聞き手に信用してもらえなければ、コミュニケーションがスタートしないのです。また、この状態では、話し手と聞き手に認識のズレが生じやすく、実生活においては、「言った、言ってない」、「聞いた、聞いてない」という問題としてしばしば表面化します。「何を話すか」より「誰が話すか」の方が影響力が大きいのです。
②理解
次は「理解」です。伝えた内容が、過不足なく伝わっている状態です。相手が話したことを抜け漏れなく正しく把握しています。しかし、理解以上の解釈が行われているわけではなく、「頭では理解しているが、心がついていかない」、「わかったけど、気に入らない」という状況に陥りやすいです。この状況は当然であり、まずはそのことを知っておくことが大切です。その上で、積極的に話し合いましょう。話すことは理解を促し、話さないことは誤解を生み出します。
③納得
その次は「納得」です。理解とは物事が単にわかっただけのことであり、納得とは物事がわかり、さらにそれに同意することを指します。いわゆる「腹落ち」した状態です。そのため、理解に比べて自分事として捉えることができています。やることで自分にメリットがあり、やらないことでデメリットがあると腑に落ちれば、「やってみよう」となります。
④共感
最後は「共感」です。見聞きした内容を頭で理解した上で、心が動かされて、自らの解釈が加わっている状態です。それがどれだけ大切なことなのか、素晴らしいことなのかが感覚的にわかっています。行動を起こすためには、「何をやるか」の前に「なぜやるか」を明確化しなければいけません。これがないと、単発的な行動はあっても、継続することはあり得ません。反対に、そのことを心の底から信じていると、その人は他の人を引きずり込もうとします。お店で言えば、客が客を呼ぶという連鎖に繋がります。人間は、頭で理解し、心で納得し、行動で共感を示します。ここまで来て初めて「伝わった」と言えるでしょう。
人間は、ニーズのないことを押し付けられるのが極端に嫌いなため、一方的な説得では誰もついてきませんし、そんな人の周りには誰も集まりません。感情が伴わない行動を無理やり続けていると、身も心もボロボロに壊れてしまいます。優れたリーダーに求められるのは、「人を動かす」でなく、「人が動く」コミュニケーションです。
教える・売ることが職業の人たちへ、科学的根拠に基づいて人の心を掴む方法を伝授します。