※閲覧注意「おい森田!聞いてんのか!!」

これは僕が高校生の頃に経験した、本当にあった怖い話です。

毎年4月時点では部員数100名を優に超える、埼玉でも屈指のサッカー強豪校。ここで「4月時点」と記述したのには理由があります。毎年8月に地獄の鬼合宿が長野県は菅平高原で実施されるのですが、事前に上級生の先輩方が新入生に対して、「合宿はまじで死ぬから」「遺書だけは書いておけ」と、ご丁寧に命の危険性を教えてくれます。そして、新入生はそれを聞いて、7月までに20人くらい辞め、実際に合宿に参加したら、その警告が冗談じゃなかったことを知り、9月までにさらに20人くらい辞めて、だいたい60人くらいが無事(?)年末を迎えることができるのです。そのため、学内には「元サッカー部」を名乗る過去の戦友で溢れかえっていました。

何がそんなにキツいのかというと、まず、練習メニューそのものがスーパーハードでした。朝から晩まで、文字通り走りっぱなしです。早朝5時に、バケツ一杯に入れられたウイダーインゼリーを各自ひとつずつ口にして、山を登ったり降りたりします。みんな少しでもパワーが欲しいところですが、上級生がウイダーインゼリーの「エネルギー」を召し上がるので、 新入生は残り物の全く欲してない「ビタミン」とか「鉄分」とか「コラーゲン」とかを補充してお肌の調子を整えてから戦場に向かいます。見渡せば、泣いてる人、吐いてる人、倒れてる人、近道しようと舗装されていない山道に進まれた勇者も現れて、その後、遭難騒ぎになったこともありました。あれは本当にあった出来事だったのでしょうか。社会に出てからもあそこまでの地獄絵図はなかなかお目にかかりません。

そして、もうひとつのキツい理由。監督・先生が、超絶怖い。天候にかかわらず常時サングラスをお召しになり、愛車はフルスモークの黒塗りベンツ。人を殺めることなどは造作もないでしょう。

そんなある日、事件が勃発しました。大先生の大事なお話を、あろうことかまるで聞いていないサイコ野郎がいたのです。

え?誰って?

そう、森田選手です。

新しい練習メニューを説明された後、「はじめろ!」と言われたものの、何をすればいいのかわかりませんでした。にもかかわらず、整列するとき一番前に並んでしまっていたのです。練習内容を全く理解していませんでしたが、とにかく思いっきりシュートを打ちました。が、その直後、

「シーーーーーン。」

と静寂に包まれました。

「あ、死んだ。母さん。」

動物的な勘が、僕にそう告げました。

ツカツカツカ、大先生が僕に近づき、

「…お前、俺の話、聞いてたか?」

僕は、恐る恐る、

「す、すみません、聞いてませんでした…」

そう答えたところで、記憶が途切れます。

 

完。

 

そして、気がついたときには、鼻にティッシュを詰めている自分がそこにありました。後に聞けば、ディフェンスがオフェンスのドリブルに対応して、体の向きを素早く合わせる練習だったそうです。「ボールから絶対に目を離すな」というヤツ。ディフェンス超メインの練習で、オフェンシブな森田選手は得意の半身かわしてシュートを叩き込んだのであります。チームメイトからは、自殺現場を目撃したと言われました。確かに、ある意味目を背けたくなる光景です(無事死亡)。

さて、僕のほろ苦い青春時代を長々と思い出してしまいましたが、プレゼンやコミュニケーションのスキルを教える僕がなぜそんなことを書き出したのかというと、人間は、人の話の80%は聞いていないそうです。もちろん、高校生の頃の僕にも問題は多分にあると思いますが、この数値を見ると、むしろ集中して聞いている方が珍しいことがわかります。たとえ最初は聞こうと思っていたとしても、いつの間にかぼんやり違うことを考えてしまっている。眠いとか、退屈とか、お腹すいたなとか、ちょっと寒いなとか、早く終わらないかなとか。

でも、先生、それが当然とご理解ください。どんなにプレゼンが上手くなっても、こちらの言うことを100%理解してくれる、なんてあり得ないのです。相手の理解力が悪いわけでもなく、自分の伝え方が悪いわけでもなく、そーゆーものなんです。すべては伝わらないんです。話を聞いてもらうときは、「みんな人の話を聞いていない」と理解することからスタートしましょう。まあ、怖くてそんなこと、言えるはずもありませんが。笑

先生、あの時は本当に、ごめんなさい。

教える・売ることが職業の人たちへ、科学的根拠に基づいて人の心を掴む方法を伝授します。

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森田 翔

森田 翔

日本つかみ協会 代表

《略歴》
1984年石川県金沢市生まれ。
エーザイ株式会社にて12年間営業職を務め、2万回を超える商談を経験。新入社員時代は月400時間の長時間労働の末に入院するも、科学的根拠に基づいた「人の心をつかむ」伝え方を習得し、営業成績最下位から1位へと劇的な逆転を果たす。社内のプレゼンテーション大会優勝の経験も持ち、その実績から社内講師として若手社員の育成に貢献。
これらの経験をもとに、より多くの伝え方に困っている人たちを救うために退職を決意、2020年に「日本つかみ協会」を設立。売ることや教えることが職業の人を対象にした伝え方研修・コンサルティングで、年間300回以上のセミナー開催、3,000人以上の受講者数を誇り、国内最大級の研修サイトで24ヶ月連続人気ランキングNo.1を獲得。プライベートでは3万人の前でプロポーズを成功させるなど、公私にわたりプレゼンテーションを実践。
現在は、星薬科大学、戸板女子短期大学の講師、東京海上グループの顧問も務め、個人、法人、行政を問わず全国から講演依頼が殺到している。

《研修実績》
エーザイ株式会社、EAファーマ株式会社、東京海上日動あんしん生命保険株式会社、りそな総合研究所株式会社、日本ロレアル株式会社、アラガン・ジャパン株式会社、株式会社大和書房、株式会社秀光、株式会社オカムラ、株式会社バレン、ボーダレスアカデミー、セミナーコンテスト東京、BNI横浜セントラルリージョン、東京コミュ塾、株式会社ベネフィット・ワン、一般社団法人みらいビジネスラボ、ユニオン労働組合、埼玉しごとセンター、松山しごと創造センター、茅ヶ崎市役所、他多数

《メディア掲載》
SMBCコンサルティング(NETPRESS)、東洋経済ONLINE、日本実業出版社(企業実務)、ZUU online、大和書房(I am)

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