最高のパフォーマンスを発揮し続ける人が実践している「Why型思考」とは

「WhyなきWhat病」が蔓延する日本のビジネス界

「What型思考」の危険性

自らの頭を使う「Why型思考」に対して、「思考」とは名ばかりの思考が停止した「What型思考」。考え方の違い一つで、その結果は恐ろしいほどの差になって現れます。以下に、「What型思考」の具体的な例を列挙します。

・実態にそぐわないのに、規則通りに行動することしかできないマニュアル人間
・お客様から言われた要求をそのまま聞くだけの御用聞き営業マン
・以前にやって上手くいかなかったからという理由で部下の提案を一蹴する前例主義の上司
・言われたことだけをこなす気が利かない部下
・体裁は整っているが魂のこもっていない企画書
・自社の都合や商品の良さだけをアピールするオレオレプレゼン
・分厚さだけは立派でメッセージのない資料

これらはすべて、我が国の職場に蔓延る思考停止状態です。表面的な「What」にとらわれ、「それはなぜか」と突き詰めて考える「Why型思考」が欠如していることが原因です。

 

「Why型思考」の必要性

高度成長期から日本で行われてきた、欧米で確立されたものをユーザーのニーズに合わせて細かく調整し、生産を最適化することで利益を上げるモデルの優位性が、日本から中国や台湾などの新興国へ移りつつあります。それに伴い、インターネットを通じて容易に手に入るようになった情報の文脈や情報発信された背景を読む読解力、目的に従って情報を活用する思考力が求められています。

たとえば、毎日のニュースとして新聞やテレビで取り上げられている事象が「What」であり、その背後にある動機やそれが起こった原因が「Why」です。ビジネスの世界で言えば、企業における業績の変化、売上やコストの増減が「What」に相当しますが、何らかの変化が起こるのはその背景となる理由が必ずあります。顧客のニーズが変化したとか、競合がキャンペーンを行なっているとか、為替レートが変動したとか、原材料費が上がったとかいう原因が考えられるでしょう。これが「Why」になります。

 

考えることは才能のない人間の最大の武器である

発言がコロコロ変わる上司の背景を考える

・「新商品の企画書、明日までによろしく」と突然言われて徹夜で対応したら、次の日に「やっぱり来週でいいや」と言われた。
・提出した資料について事細かにダメ出しされ、一字一句その通りに訂正したら、180度異なるコメントをされたり、「元に戻して」と言われた。
・「焼きそばパンを買ってこい」と言われ、ダッシュで買ってきたものの、「これじゃない」と言われた。

このような状況に対処するときのポイントは、上司からの指示(What)をそのまま受け取って行動するか、その「向こう側」にある真の意図(Why)を汲み取ってから行動するかです。

一つ目の例における「向こう側」として考えられるのは、「上司の上司」や「翌日の会議」や「上司が会う予定のお客様」などです。こうした「そもそも何のため」という背景を把握すれば、そこで求められる情報の精度やスケジュールが変更になるリスクの大小などを先読みすることができ、より良いアウトプットを最小限の時間で効率的に作ることができるようになります。

二つ目の例で、指示の「向こう側」にあるのは、「想定する読み手に分かりやすく表現したい」ということ(Why)でしょう。「向こう側」の相手が、おおよその要点を掴みたい役員なのか、数字に厳しい経理部門なのか、売りやすさを気にする営業部門なのかによって、資料の直し方は違うはずです。

三つ目の例は、本当にあった怖い話であり、私が学生時代にサッカー部の先輩から日常的に行われていた愛情たっぷりのご指導です。きっとこの「向こう側」には、「可愛い後輩とコミュニケーションをとりたい」という想い(Why)があったため、何を買ってきても正解ではなかったでしょう(涙)。

 

顧客のニーズは何か

顧客に「◯◯が欲しい」とリクエストされ、その◯◯がなかったとき、顧客の「なぜ◯◯が必要なのか」を理解することで、顧客のニーズに合った代替案やより良い提案ができるようになります。また、話を深掘りすることによって、顧客自身も気付いていない潜在的なニーズを引き出すことができるかもしれません。さらに、綿密なコミュニケーションをとり、真摯に対応する姿勢を見せることで、長期的な信頼関係を築いていくことができます。

私たちは皆、感情を持った人間であり、機械ではありません。誰もが一生懸命に生きていて、その存在は考えることによって支えられています。ビジネスでもプライベートでも、考えることで世界の見え方は変わり、自分らしさを発揮することができます。情報が溢れている現代だからこそ、「なぜ」を繰り返し自問自答して物事の本質を見極める「Why型思考」で考える癖を付けましょう。

 

教える・売ることが職業の人たちへ、科学的根拠に基づいて人の心を掴む方法を伝授します。

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森田 翔

森田 翔

日本つかみ協会 代表

《略歴》
1984年石川県金沢市生まれ。
エーザイ株式会社にて12年間営業職を務め、2万回を超える商談を経験。新入社員時代は月400時間の長時間労働の末に入院するも、科学的根拠に基づいた「人の心をつかむ」伝え方を習得し、営業成績最下位から1位へと劇的な逆転を果たす。社内のプレゼンテーション大会優勝の経験も持ち、その実績から社内講師として若手社員の育成に貢献。
これらの経験をもとに、より多くの伝え方に困っている人たちを救うために退職を決意、2020年に「日本つかみ協会」を設立。売ることや教えることが職業の人を対象にした伝え方研修・コンサルティングで、年間300回以上のセミナー開催、3,000人以上の受講者数を誇り、国内最大級の研修サイトで24ヶ月連続人気ランキングNo.1を獲得。プライベートでは3万人の前でプロポーズを成功させるなど、公私にわたりプレゼンテーションを実践。
現在は、星薬科大学、戸板女子短期大学の講師、東京海上グループの顧問も務め、個人、法人、行政を問わず全国から講演依頼が殺到している。

《研修実績》
エーザイ株式会社、EAファーマ株式会社、東京海上日動あんしん生命保険株式会社、りそな総合研究所株式会社、日本ロレアル株式会社、アラガン・ジャパン株式会社、株式会社大和書房、株式会社秀光、株式会社オカムラ、株式会社バレン、ボーダレスアカデミー、セミナーコンテスト東京、BNI横浜セントラルリージョン、東京コミュ塾、株式会社ベネフィット・ワン、一般社団法人みらいビジネスラボ、ユニオン労働組合、埼玉しごとセンター、松山しごと創造センター、茅ヶ崎市役所、他多数

《メディア掲載》
SMBCコンサルティング(NETPRESS)、東洋経済ONLINE、日本実業出版社(企業実務)、ZUU online、大和書房(I am)

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